ピンクのワンピース黄色の帽子

たこここの顔をみると、たこちんのアノ頃を思い出す。
だって同じ顔なんだもん。目と鼻と口がある。

抱っこひもの中から見上げたまん丸の瞳。今も鮮明にたここの記憶に残るその輝き。
里帰りの新幹線の中でたこちんの顔を覗き込むようにしてみていたオバサンの
「まぁ、かわいそうにっ(ーー;)」の言葉。
かわいそうと言われてしまった自分たちがとてもかわいそうだった。

無遠慮な視線もたくさん浴びた。いや浴びせてしまったのかなぁ、
でも悪いことをしてるんじゃないから隠そうとも思わなかったけれど、
たこちんはどう思っていたんだろう。

母に会うのは4ヶ月ぶりだった。自宅を出て5時間半、、。
5ヶ月になるその孫の顔を
うれしそうに覗き込んだ母の絶句した表情も忘れられない。
母もまたその時のことを忘れられないと言う。

「黄色のカワイイお耳のついた帽子をかぶって抱っこひもの中にいた。
覗き込むとかわいいんだけどまっかっかで傷だらけで
痛そうでほぉーほぉーとした顔。真っ赤な愛らしいくちびる。そして・・・
きれいなまぁるいおめめが私をじーっと不思議そうにみつめていた」んだそうだ。

たこちんにとって母の瞳は「その日観た幾つめの瞳」だったのだろうか、
瞳の奥はみんな同じだったんだろうか、私のも同じ?
たこちんの瞳の奥にはその時の記憶が今もあるのだろうか?


たこここは色白でツルツルのお肌でとてもかわいい。
すれ違う人もにこやかに振り帰る。あの時の瞳とは違う。
おととい、その肌にとてもよくにあう白とピンクのドレスを買った。
うれしかったけれど、、、今日はなんだかとてもせつない。


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